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司法修習生の方へ(実務への準備のために)


61W14Rr4hnL実務に就く前にどんな勉強をすればいいですかという質問を,よく司法修習生の方から受けます。

法律実務家の仕事は,広く社会全般にかかわるものなので,幅広い知識が必要です。

ここでは主に司法修習生の方向けに,最低限,これくらいは勉強しておいた方がいいですよ,という内容をご紹介します。

 

① 簿記・会計

会社が関係する民事事件では,税務や会計が争点になっている場合でなくとも,財務諸表や帳簿類が重要な証拠となる場合が非常にたくさんあります。

そこで,会計入門書や,簿記3級程度の教科書を一読しておくのがよいでしょう。

おすすめの本は,

・國貞克則「決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法」朝日新書

 ・桜井久勝「会計学入門」日経文庫

です。

簿記の本は,たくさんありますので,それほど分厚いものでなくとも,手にとって分かりやすそうなものがよいと思います。

 

② 司法試験で選択しなかった法律科目の教科書

特に倒産法,労働法,税法,知的財産法,独占禁止法は,実務で必須知識です。

一般に司法試験の勉強で使われている本の中で,薄い教科書(挫折しないためにも)でよいので,ざっとは読んでおきましょう。

 

③ ビジネス・マナー

社会人の経験のない方は,基本的なビジネス・マナーについては,きちんと本を読んで勉強しておいた方がよいでしょう。

マナー違反があっても,弁護士だと,周囲の人が遠慮して注意をしてくれないこともあります。しかし,敬語が変だったり,服装がTPOに合っていないと,とても恥をかいてしまいますので,そのようなことがないためにも,ビジネス・マナーの知識は必須です。

おすすめは,以下の書籍。

 ・梅島みよ他「ビジネスマナー入門」日経文庫

 ・高橋書店編集部「さすが!と言われるビジネスマナー完全版」

 

④ 経営に関する本

弁護士も,中小企業の経営者です。非常に残念なことですが,弁護士の世界も,金銭に関係する不祥事が多くなってきています。

まずは,足元の経営をしっかりさせるためにも,経営者の基本を学んでおく必要があります。

入門書としてのおすすめは,

 ・小倉昌男「経営学」日経BP社

 ・稲盛和夫「成功への情熱」PHP文庫

どちらも,経営者としてのモチベーションがあがる良書です。

 

⑤ その他

検事に任官予定の方であれば,法医学や,法科学の知識が大切です。法医学の関係では,以下のような,警察官向けに書かれた実戦的な本があります。

・渡辺博司「死体の視かた」東京法令出版

他に,弁護士志望の方なら,今後の過酷な競争に勝ち抜くためには,専門分野に特化することが有効な手段です。そこで,④よりももっと実践的なマーケティングの本として,漫画ですが,

・福永雅文他「ビジネス実戦マンガ・ランチェスター戦略」PHP  研究所

が,非常に詳しくて,分かりやすいです。

私の修習時代は,2年間もの長い修習期間でしたが(今は1年です),それほど勉強しませんでした。

そのため,実務に就いてからあわてていろんな勉強をすることになってしまいました。

そうならないためにも,修行期間にきちんとした準備が必要ということで,参考になればと思っています。