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Archive for 1月, 2017

新人弁護士紹介(髙田脩平弁護士)

金曜日, 1月 20th, 2017

写真(弁護士髙田)本年1月より,髙田脩平弁護士(修習69期)が入所いたしました。

同弁護士は,国税調査官として4年間勤務した経験があり,当事務所としても,貴重な戦力となってくれることを大いに期待しています。

以下,彼による自己紹介です。

どうぞよろしくお願いいたします。

「弁護士 髙田脩平

1 ご挨拶

 はじめまして。
 本年より弊所で勤務している弁護士の髙田脩平と申します。
 みなさまのお役に立てる弁護士となれるよう,努力いたします。
 今後よろしくお願いいたします。

2 経歴

 みなさまに私のことを知っていただきたく,自己紹介をさせていただきます。
 
 私は京都府宇治市出身で,今年で33歳になります。
 

 立命館大学法学部を卒業後,国家公務員(国税調査官)として勤務し,一念発起して大阪大学法科大学院に進学いたしました。

 そして法科大学院修了後の1回目の司法試験において合格し,1年間の司法修習を経て,本年1月1日に弁護士登録をさせていただきました。

 これまで,大学の学部時代のゼミでは租税法,司法試験選択科目としては環境法に力をいれて取り組んで参りました。

 いずれも,学生として机上で本を読むだけでは無味乾燥な分野ではありますが,実社会の中では近年,ますます存在感を高めています。

 学んできた知識を実務で活かせてこそ,弁護士としての価値があるのだと念頭に置きつつ,これからも幅広い分野の知識を吸収し,有能な弁護士となれる精進いたします。
 
3 抱負など

 現在,興味・関心のある法律分野は,「すべて」というのが本音では
ありますが,強いてあげるとするならば,やはり租税法に関する分野です。
弊所は税金事件に強い事務所を標榜しておりますので,私も中村所長に
追いつけ,追い越せの気構えをもって取り組む所存でございます。

 プライベートでは,旅行ランニングを趣味としています。
 少し時間が取れるときには,青春18きっぷ(全国のJR普通列車が
乗り放題となる切符)で目的地を定めることなく,気の向くままに鉄道旅をしたりしてきました。

 近年,地方路線の廃止が相次いでおり,「乗り鉄」としては寂しい限りです。

 ランニングに関しては運動不足を実感したことをきっかけに走り出す
ようになり,かれこれ5年以上になります。

 これまでに大阪マラソンをはじめ,神戸・京都・奈良などのフルマラソンに参加してきました。

 弊所に入所する直前の昨年12月には,ついに,沖縄にまで遠征して
フルマラソンを走ってきました。

 大勢の沿道の応援を受けながら普段,走ることのできない道路の真ん中を走る快感や,ゴールした後の感動は,ことばでは言い表せないものがあります。

 ご覧頂いているみなさまの中で運動不足を感じていらっしゃる方は,ぜひとも,5年前の私のように,重たい最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
 
 今後,みなさまから信頼していただける弁護士を目指して真摯に取り組みますので,どうぞよろしくお願いいたします。」

憲法について

木曜日, 1月 5th, 2017

Nihon_Kenpo02

新年あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて,近年,憲法9条を中心に憲法改正の是非が問われています。

そこで,新年最初の記事として,憲法のことについて取り上げてみました。

1 はじめに

憲法は国の基本法であり,法学部生のほとんどが最初に履修する重要な法律です。

憲法は国のあり方を定めた法ということだけでなく,私たち国民の権利を守る「人権の砦」です。

憲法改正論については,色々な意見があると思いますが,雰囲気に流されるのではなく,基本にかえって憲法とはどういうものかをとらえることが大事です。

そこで,まずは憲法の歴史,特に「立憲主義」と言われる考え方について解説します。

 

2 立憲主義とは

そもそも憲法は,何のためにあるのでしょうか。

その答えは,「国の権力濫用を阻止し,国民の権利を守るためにある。」とされています。

これを理解するには,憲法の歴史を辿る必要があります。

まず,「王や権力者も,(憲)法に従わなければならない。」という考え方を「古典的立憲主義」と言います。

この考え方は,古代ギリシャや,ローマ,また日本の十七条憲法にもありますが,イギリスのマグナ・カルタ(1215年)が有名です。これは,議会の同意がない限り,王が勝手に貴族諸侯の権利を奪うことができないというルールです。

きっかけは,ジョン王という王様が,フランスにあったイギリスの領土の大半を失ったため,貴族達からの支持を回復するために彼らの権利を認めたものです。余談ですが,このためジョン王は,「欠地王」という不名誉な名前で呼ばれるようになりました。

この古典的立憲主義は,王の専制を防止するものですが,まだ貴族や一部の市民の権利を守るものにすぎませんでした。

次に,アメリカ独立宣言(1776年)や,フランスの「人及び市民の権利宣言」(1789年)といった市民革命によって,「近代的立憲主義」が生まれました。

その特徴は,①自由主義,②民主主義,③権力の分立にあります。

自由主義は,「天賦人権説」ともいい,人はみな平等な権利を与えられているという考え方です。これは,西洋の思想を支えるキリスト教倫理(神は人を平等に愛している),近代啓蒙主義思想(中世の古い迷信を排除)に基づいています。

また,民主主義は,古代ギリシャ,ローマ以来の西洋の思想です。

権力の分立は,自由主義を守るための仕組みです。

具体的には,直接民主主義の弊害(少数者の抑圧)を招かないための間接民主制(議会制)や,議会の活動を抑制すること(違憲立法審査権,首相の議院解散権)で,国民の権利を保護する制度です。

以上のように,立憲主義は,憲法によって一人一人の権利を権力者から守る,そのために権力をルールによって制限するということに特徴があります。

 

3 日本国憲法について

立憲主義の考え方からすると,日本国憲法で最も重要な条文はどれでしょうか。

その答えは,憲法13条です。

憲法13条は,「すべての国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」と定めています。

ここで重要なのは,「人」ではなく,「個人」とされていることです。

例えば馬や犬について,動物愛護の観点から尊重することは可能ですが,「個馬」,「個犬」という言い方はありません。

「個人」というのは,一人一人の人間の個性が大切であるということを意味しています。

また,「公共の福祉」とは,人権の衝突・矛盾を調整するという意味と,社会福祉を実現するために,ある程度経済活動を制約するという意味を指します。要するに,他の人権との関係で制約があるというもので,国や社会全体のために犠牲を強いるというものではありません。

「個人主義」というと,一般にはワガママをイメージされるかもしれません。

しかし,憲法に定める「個人主義」はそれとは異なり,個人は,何かのための手段とされるのではなく,一人一人が尊いというメッセージが込められています。

 

4 憲法の改正について

憲法の改正論議では,特に憲法9条が取り上げられています。

テロへの脅威などから集団的安全保障の必要性が主張されたり,また,それとは反対に日本が戦争に巻き込まれることへの懸念が示されたりしています。

おそらく憲法9条改正論,改正反対論,いずれの立場も,ほとんどの方は,平和への願いや,将来の日本を思う気持ちに変わりはないと思います。

私自身は,憲法9条を直ちに改正しなければならないとは思っていませんが,仮に9条を改正して,国を守る必要を認めるとしても,軍備は自衛のための最小限でなければならないこと,世界平和の理想に到達することを目標として,将来の縮小・廃止を目指すことを明文化するなど,平和へのメッセージの込められたものになればよいと考えています。

引用画像はWikipediaからのもので日本国憲法の原本です。

今年はアメリカでトランプ氏が大統領に就任するなど予測困難な年になりそうです。

世界中でテロや戦争が起こっていますが,改めて戦争と平和の問題について,深く考えていきたいと思います。