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法律の中の幽霊


お化け弁護士の渡邉春菜です。

8月が過ぎ去り,9月が到来しました。

体温より高い外気温にとろけそうな日々もようやく終盤。

とはいえ,週間予報を眺めれば,予想最高気温は35度前後にべったり張り付き,秋の姿は未だ見えず。

せめてウェブ空間の中だけでもひんやりとした涼を演出すべく,本日は「幽霊」のお話です。

 

なお,当業界(法曹界),実にさまざまな紛争を扱いますため,「幽霊よりも人間の方が怖い」というご発言をされる方が大変多いのですが,幽霊よりも恐ろしい人間のお話は,涼しさを通り越して凍り付きそうになりますので,本ブログでは省略させていただきます。

 古今東西,幽霊の存在は,多くの人により信じられ,語られ,研究されてきました。しかし,現在においてもその存在は証明されていません。

現代の日本の法律でも,幽霊なるものは存在しないことになっています。

「幽霊」という文言が載っている法律は,寡聞にして存じません。

はりめぐらされた法の網も,幽霊には及んでいません。

民法には3条1項に「私権の享有は出生に始まる」という大変格調の高い条文があります。

これは要するに「人は生まれながらにして,私法(民法等)で認められた諸権利(人格権・財産権等)を有しうる」という意味なのですが,同時に「人は亡くなったらこれらの諸権利を有する資格を失う」ということを意味します。

つまり,幽霊に「権利」はありません

刑法では,主に「者」(≓人)に対する処罰を定めていますが,亡くなった方はこれに含まれません。つまり,幽霊は処罰されません。

 

現在の法律は基本的に「幽霊は存在しない」という前提で作られ,運用されています。しかし,法律の話をしている際に「幽霊」が一切登場しないかというと,実は登場シーンがないではないのです。

いわゆる「事故物件」,例えば,居住用マンションの一室で居住者が亡くなり,その後その部屋には「幽霊が出る」という噂が絶えず次々に入居者が変わっていたものの,そうとは知らずにこれを購入してしまった方がいるとします。後からこの事実を知った購入者は,(一定の条件を満たせば)民法に基づき,売買契約を解除したり売主に損害賠償請求等をすることが出来ます。 

 

今年4月に改正される前の民法(改正前民法)では,「売り物に『瑕疵』(読み方:かし,意味:キズ)があった場合,一定の条件を満たせば,購入者は売主に対して売買契約の解除や損害賠償請求ができる」となっていました(改正前民法570条)。

売り物にキズ(瑕疵)がある」とは,「この手の売り物には一般的に×××という品質や性能があるけれども,この売り物にはそのような品質や性能がない」という状態です。

例えば,白雪姫がリンゴ売りから買ったリンゴが毒入りの場合,このリンゴには「キズ(瑕疵)」があります。

通常売られているリンゴは食べることができますが,白雪姫が買ったリンゴは毒が入っていて食べることが出来ないものだったからです。

この「キズ(瑕疵)」は,「買ったリンゴに毒が入っている」とか,「買ったマンションが雨漏りする」等の物理的なものに限られません。

心理的瑕疵」,つまり,「売り物の物理的な性能等に問題があるわけではないけれども,購入を考えている人が『そんな事情があるなら買いたくない!』と強い心理的抵抗を感じやすい事情」も含まれます。

以前の居住者がこの部屋で亡くなっていて,以後幽霊が出るという噂が絶えない」というのも,この事情の一つにあたり得ます。 

したがって,このような部屋を買ってしまった場合,(一定の条件を満たせば)契約の解除や損害賠償請求が出来ることになるのです。

 

なお,この4月に改正された民法では,瑕疵に関する売主の責任が定められた旧民法570条(瑕疵担保責任の定め)が削除されました。

しかし,代わりに「契約不適合責任」という条文(改正後民法565条)が新たに出来ました。

そのため,上記のような心理的瑕疵に関する考え方は,基本的に変わらないと思われます。 

ただ,変更点が一つあります。 

第一に,説明の仕方。「この手の売り物は一般的に×××という品質や性能を持っているけれども,この売り物にはそのような品質や性能がないから,この売り物にはキズ(瑕疵)がある」という説明の仕方が,「この手の売り物は一般的に×××という品質や性能を持っているけれども,この売り物にはそのような品質や性能がないから,この売り物は契約不適合(=売買契約に適合した売り物ではない)」という説明に変わります。

第二に,購入者が売主に何を請求できるかです

改正前は①契約解除②損害賠償請求が出来るとなっていましたが,改正後は,これらに加えて,③売買代金減額請求が可能になります。(ごく例外的なケースになるとは思いますが,場合によっては)④代替物の引渡請求(=同じような部屋を引き渡せとの請求)も可能かもしれません。

 

以上,本日は,法律の世界に出てくる幽霊のお話でした。

怪談的ひんやり感を楽しんでくださった方,サムさを感じられた方,いずれも,まだまだ続きそうな暑さに負けないようご自愛ください。

イラスト作画:中村和洋

 

個人情報保護について


 みなさんは官報をご覧になったことはありますか。

 官報では,法令の公布が行われるほか,閣議決定事項や叙勲・褒章に関する事項といった国の広報,地方公共団体や裁判所の公告事項などが広く掲載されます。

 実は,行政機関の休日を除いて毎日発行されており,紙媒体のほかにインターネットでも過去30日間分を無料で閲覧することができます。

 司法試験合格者の氏名が掲載された官報などで購入希望者が殺到することもありますが(私も1部入手しました),大半は官公庁や図書館などで定期購読されているだけですから,実際に目にされる機会は多くないかもしれません。

 そんな官報には,破産手続開始決定の公告として,破産者等の個人情報が掲載されます(破産法32条)。

 破産手続は,債権者に多大な負担をかけて債務者の財産関係を清算するものですから,個人情報の公告自体はやむを得ないところですが,当然,その個人情報は本人にとっていつまでも自由に知られてよいという情報ではありません。

 7月29日,国の個人情報保護委員会は,官報から収集された多数の破産者等の個人情報をウェブサイトに掲載している2事業者に対し,個人情報保護法に基づき,当該ウェブサイトを直ちに停止するように命じました

 個人情報保護法は,個人情報の収集に際して本人に対する利用目的の通知・公表を義務づけていて(個人情報保護法18条),個人情報を第三者に提供するには,原則として本人の同意を得なければならないと定めています(同法23条1項)。

 今回,停止を命じられたウェブサイトは,これらに違反しているとして是正勧告を経て停止命令に至りました。

 たしかに,破産者の情報を知りたいという需要が存在することは理解しますが,破産者の個人情報が蔑ろにされてよいということにはなりません。

 (私にはおよそ信じられないのですが,)アイドルやプロ野球選手などの自宅住所が雑誌に公開されていた時代とは異なり,現在は,卒業アルバムですら住所の記載がされなくなるほど個人情報の重要性が浸透しています。

 そうすると,一度は官報に掲載された情報であるといえども,破産者の個人情報も保護されるべきといえます。

 ところで,今回ウェブサイトの停止が命じられた2事業者については,所在不明となっているようです(そのため,公示送達の方法により命令の効力が生じています)。

 インターネット上で個人情報が公開された場合の被害回復の難しさを感じさせられるニュースとなりました。

(文責:弁護士 髙田脩平)

勾留理由開示について


弁護士の荒木誠です。

最近,京都の放火殺人事件の関係で話題になりましたが,今回は,勾留理由開示に関する手続について解説します。

 

1.勾留とその要件

まず,勾留とは,被疑者や被告人の身柄を拘束する処分のことをいいます。

 

これは,裁判になる前の捜査段階における「被疑者勾留」,起訴された後になされる「被告人勾留」に分類できます(以下,簡略化のため区別なく論じます)。

 

どのような場合に勾留が認められるかという要件については,刑事訴訟法(以下「法」といいます。)60条1項に規定があります。

 

これによると,罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で,次の①から③の各号いずれか一つに当たるときは勾留ができる,とされています。

 

①定まった住居を有しないとき

②罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき

③逃亡し,逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき

 

②の罪証隠滅や③の逃亡については,判例上,単なる抽象的なおそれではなく,現実的な可能性を検討することが要求されているのがポイントです。

 

また,そのほか,「勾留の必要性」も要件になると考えられています。

 

実際の勾留状には,例えば,暴行罪であれば「被疑者(被告人)は,●年●月●日ころ,××において,被害者に対し,▲▲などの暴行を加えたものである。」などといった嫌疑内容のほか,法60条1項何号の事由に当たるという結論しか書いてありませんので,具体的な理由の中身までは分かりません。

 

しかも,捜査段階では,弁護側は,捜査側が持っている証拠を見る手段がありませんので,どの証拠をどのように隠滅することが想定されているのか,正確に把握することは困難です。

 

弁護人が勾留の効力を争う場合には,勾留の理由が認められないことなどを主張するのですが,勾留の理由自体明らかではないため,依頼者の話を参考に,経験に照らして収集されている証拠内容を予想しつつ,主張を組み立てているというのが実際のところです。

 

そこで,勾留理由開示手続によって勾留理由を明らかにできないか,ということが問題となります。

 

2.勾留理由開示の根拠と手続

憲法34条後段には,

「何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」

と規定されています。

つまり,勾留理由開示は,憲法に根拠があるということです。

 

そして,被疑者(被告人),弁護人だけでなく,配偶者や親族等の利害関係者も,裁判所に対し,勾留理由の開示を請求することができます。

ただし,1回の勾留につき,1度の請求しか認められていませんので,タイミングの判断が重要になります。

 

なお,法律上,原則として,被疑者(被告人)と弁護人が裁判に出頭することが義務付けられていますが,病気その他やむを得ない事由で出頭できず,被告人にも異議がないときには,例外的に被告人は出頭しなくてもよいことになっています。

 

具体的な開示の手続としては,まず,法廷において,裁判所から勾留理由の開示があります。

これに対し,弁護人が,その内容についてさらに詳しい説明を求めます(求釈明)。

その後,被疑者(被告人),弁護人,その他請求者が,勾留の理由等について意見陳述をします。

意見陳述の時間は,規則により1人10分以内と規定されています。

 

3.開示すべき理由の程度

裁判所がどの程度の理由を開示すべきかについて,明確な規定がありません。

弁護人としては,どのような証拠につき,どのような方法・理由で罪証隠滅がされると考えているのか具体的に説明してほしいところです。

しかしながら,実務では,捜査に支障を来たすなどを理由にして,具体的な理由が述べられることは少ないです。

そのため,開示手続が利用されることはあまりないのが現状です。

 

4.そのほか期待できる効果

意見陳述の内容は,裁判所の調書に記載されます。そのため,被疑者(被告人)の主張や,取り調べの状況等を供述させることで,そのときの供述内容を証拠化することができます。

また,事実上の効果というべきものですが,開示手続は公開の法廷で行われますので,面会が制限されているご家族などが傍聴に来ていただければ,顔をあわすことができます。

賭け麻雀と税金について

 税務判例入門つい先日,東京高検の黒川弘務検事長が,緊急事態宣言で外出自粛要請がなされている中,賭け麻雀を行っていたことが発覚し,辞職に追い込まれるという出来事がありました。

 賭け麻雀は,賭博罪に該当しますが,勝ったお金についての税金はどうなるでしょうか。

 違法なことを理由とする所得であっても,現に収入が存在する以上は,所得税の対象となります。

 所得税法では,事業所得,給与所得,一時所得,雑所得など,所得の種類によって,必要経費の範囲など課税のあり方が異なります。

 賭け麻雀による所得については,事業所得,一時所得,雑所得が問題となります。

 麻雀にはプロがいますが,彼らは別に賭け麻雀を行っているのではなく,大会の出場費や賞金,レッスン料,麻雀雑誌の原稿料等で収入を得ているものと思われます。

 それらによる収入は事業所得と考えられます。

 プロ雀士とは異なり,昔の博徒のように,賭け麻雀を職業としている人はどうでしょうか。

 「事業所得」という考え方もあるでしょうが,判例では,事業とは,社会通念上の職業といえるものでなければならないとされています。

 賭け麻雀で収入を得る職業が,果たして社会的認知を受けているか,また実際にそんな人が多くいるとは思えないのではないか,ということからすると,「事業所得」とは認められない可能性が高いでしょう

   なお,例えば暴力団が,賭場を設営して,継続的に人を集めて賭け麻雀を行わせ,そこから寺銭を取っていたような場合には,賭博開帳図利罪が成立しますが,その場合の設営者の所得は,「事業所得」となる可能性が高いといえます。

 さて,一般的には,賭博による収入は,偶然に得た棚ぼた的なものであるとして,「一時所得」に該当します。

 一時所得は50万円までは非課税で,50万円を超える額については,その2分の1が所得税の対象となります。

 一時所得の場合は,その都度,単発で得た所得が問題になりますので,年間のトータルの所得が問題になるのではありません。

 賭け麻雀の場合は,通常は,一日に半荘を何回か行って,最後にトータルの収支で,金銭のやり取りをすることが多いと思われます。

 ですから,私見では,その日の最後のゲームが終わって,受け取った金額が一時所得に該当するものと考えます。

 もし,一回一回の半荘ごとに金銭をやりとりしているのであれば,その都度,一時所得になるでしょう。

 一時所得の必要経費は,その所得を得るのに直接必要な支出に限られますので,賭け麻雀の場合はせいぜい,雀荘に支払ったゲーム代くらいかと思います。

自宅で行っている場合には,ほとんど必要経費は認められないでしょう

 また,別の機会に負けてしまって,支払ったお金は,以前に勝って得たお金と結びつくものではありませんので,必要経費にはなりません。

 ですから,年間トータルでは損をしていても,収支がプラスであった日があれば,それらのプラスだけが合算されて所得になりますので,合計が50万円を超えていれば,課税の対象になります。

 負け金は必要経費にはならないのです

 では,しょっちゅう賭け麻雀をやっていて,ほとんどプラスであるという人の場合も,「一時所得」と考えてよいでしょうか。

 この点,馬券の払戻金についてはずれ馬券の購入費を必要経費と認めた最高裁判例が参考になります。

 同判例によれば,「行為の期間,回数,頻度その他の態様,利益発生の規模,期間その他の状況等の事情を総合考慮して,営利を目的とする継続的行為から生じた所得」であれば,雑所得として,年間のトータルに課税する,すなわちはずれ馬券の購入費を必要経費として認めるとされています(最高裁平成27年3月10日判決)。

 賭け麻雀の場合も,ほとんど職業に近い形で,毎日のように繰り返し行い,プロ雀士にも匹敵するほどの技量があって,収支もほとんどプラスなどの事情があれば,「雑所得」に該当する可能性があります。

 その場合には,負け金も必要経費となり得ますが,普通の人で,上記の条件を満たす人はほとんどいないのではないでしょうか。

 さて,件の検事長は,新聞記者から取材を受ける立場で,接待麻雀としてわざと勝たしてもらっていた可能性もあります。

 その場合は,偶然によって得た所得ではないので,一時所得には該当しません。

 取材を受ける対価,もっと進んで情報提供の対価ということであれば,収賄罪や,国家公務員法違反(秘密漏洩)が成立する可能性もありますが,所得税との関係では,「雑所得」に該当するでしょう。

 以上のように,賭け麻雀によって得たお金にも,税金がかかります。

 ただ,そもそも賭博は違法な犯罪で,勤務先における懲戒の対象になるだけでなく,時には逮捕,起訴されることもあり得ます。

 「学生時代にはよくやった。」,「みんな,やっている。」などの安易な気持ちで行うことは禁物といえるでしょう。

文責:中村和洋

特別養子縁組について


弁護士の髙田です。

最近のニュースは新型コロナウイルスに関する暗い話題ばかりですが,そんな中,タレントの武内由紀子さんが2度目の特別養子縁組に向けて,生後9日目の女児を迎え入れたことを発表されました。

とても幸せそうな家族写真が印象的で,これからの家族のあり方というものを考えさせられます。

そこで,今回は特別養子縁組制度についてみてみましょう。

 

日本の養子縁組制度は,元の親子関係を存続させたまま新たに形成する養親子関係を併存する(子からみれば,法律上にも実親と養親が併存する)普通養子縁組が主流ですが,特別養子縁組では,元の親子関係を断絶して新たに実子と同視する法律上の親子関係を創設する点に特徴があります。

養子となる子の福祉を重視して,諸外国の制度を参考に昭和62年の法改正で新設されました。

最高裁判所がまとめる司法統計によりますと,年間300件程度だった成立件数がここ数年は500件を超えるまでになっています(ただし,米国では実親との関係が終了する養子縁組が,年間10万件以上成立しています)。

元の親子関係を法的に断絶するということは,実親の親権を消滅させるということにとどまらず,実親からの相続権も失います(普通養子の場合は,実親からの相続権が消滅しません)から親子双方にとって重大な効果が生じます。

しかも,そのような効果を容易に取り消すことになっては法的安定性の問題が生じますから,ごく限られた場合を除いて離縁することも認められません。

そのため,特別養子縁組が成立するためには,家庭裁判所の審判を要する厳格な要件が設けられてきました。

しかしながら,厚労省の調査によると要件が厳格すぎるなどの理由で特別養子制度を利用できなかった事例が多数存在することが明らかになりました。

そこで,特別養子縁組制度の利用を促進するため,①特別養子縁組制度の対象年齢を拡大し,②家庭裁判所の手続きを合理化することで養親候補者の負担軽減を図ることを目指して民法や家事事件手続法などが改正され,今年の4月1日から施行されています。

従前は,特別養子縁組成立の審判の申立時点で養子候補者が6歳未満であること(例外的に6歳に達する前から養親候補者が引き続き養育していた場合には8歳未満であること)が要件となっていましたが,児童福祉の現場等からは,年長の児童について特別養子制度を利用できない,という指摘があがっていたそうです。

たしかに,幼い頃からの養育を開始した方が実質的な親子関係を形成しやすいという面はあるものの,小学生以上の子について特別養子として迎える余地がないというのでは制度の間口が狭く,制度を利用しにくかったといえるでしょう。

そこで,改正後は審判申立時における上限年齢を原則として15歳未満として拡大しました。

また,従前の手続きでは,家庭裁判所において,実親による養育が著しく困難であること(実親の経済事情や年齢等を踏まえた養育能力,虐待の有無),実親の同意,養親候補者による6か月以上の試験養育の結果等,さまざまな事項を一括して審理する仕組みとなっていました。

しかし,これでは実親による養育状況が問題ありと認定されるのか未定のまま,養親候補者が試験養育をしなければならないことや,審判が確定するまでの間,実親による同意が撤回されるかもしれないという不安定な状況が続くことが問題とされていました。

そこで,改正後の手続きでは実親による養育状況及び同意の有無等を判断する審判と,養親子のマッチング状況を判断する審判が分離された二段階手続きが導入されました。

改正後は,まず,児童相談所長や養親候補者から,実親による養育状況及び実親の同意の有無等を判断する第1段階の審判(確認のための審判)を経た後,試験養育状況から養親子のマッチング状況を判断する第2段階の審判(成立のための審判)によって特別養子縁組が成立することになります。

この改正により,実親は第2段階の審判に関与せず,同意を撤回することもできなくなりましたし,第1段階の審判で実親の養育状況に問題があるという家庭裁判所の判断を経た後に,養親候補者が安心して試験養育を開始することができるようになりました。

さまざまな理由で実親と暮らすことのできない子が多くいる中で,昨今は晩婚化などを理由として子に恵まれないカップルも増えています。

法改正により利用しやすくなった特別養子縁組制度によって,日本でも新しい家族の形が広がるのかもしれません。

 

民事執行法の改正について


弁護士の荒木誠です。

現在,新型コロナウイルスにより日本中が深刻な影響を受けている状況にありますが,4月1日から改正民法が施行されます。

また,4月1日は,改正民事執行法の施行日でもあります(一部例外はあります)。

今回の民事執行法の改正は,債務者の財産調査について大きな影響がありますので,ご紹介します。

 

1 強制執行と財産調査

次のような事案で検討してみます。

①Aさんが,Bさんに対し,100万円を貸した。

Bさんに返済を求めても,「待ってほしい」と言って応じてくれない。

③やむなくBさんに対して裁判を起こしたが,Bさんは裁判に欠席した。

 

このようなケースでは,通常,そのままAさんの請求を認める判決が出されます。

しかし,判決が出ても,裁判所がお金を払ってくれるわけではありませんので,次に,強制的にお金を取り立てる手続の申立てをしなければなりません。

これが強制執行の手続です。

 

そして,強制執行では,Bさんの特定の財産を差し押えて取り立てることになるため,Bさん名義の預貯金,不動産などがどこにあるかを知っている必要があります。しかも,預貯金の場合には,支店名の情報も必要になります。

 

しかし,通常,債務者は,債権者に財産情報を教えることはありませんので,Aさんが自力でBさんの財産を調査することは難しいといえます。

 

そのため,これまでは弁護士が依頼を受けて,弁護士会を通じた照会を行って預金口座などの情報を取得することが多かったかと思います。しかし,制度上,十分な情報が得られない場合もありました。

 

2 第三者からの情報取得手続の新設

そこで,今回の改正により,第三者から債務者の財産情報を取得する手続が新たに3つ新設されます。

なお,いずれの手続も強制執行開始のための要件が備わっていることが前提になりますので注意が必要です。

 

①預貯金に関する情報の取得

これは,銀行等の金融機関から情報を取得する手続です。

取得できる情報には,預貯金の残高のほか,店舗名も含まれていますので,どの支店に口座を持っているかも把握することができます。

②不動産に関する情報の取得

これは,登記所から情報を取得する手続です。

これにより,債務者が所有者となっている土地や建物に関する情報を取得できます。

なお,後述の債務者の財産開示手続を先行させる必要があります。

③給与債権に関する情報の取得

これは,債務者の給与の支払先から情報の提供を受けている市町村などの公的機関から情報を取得する手続です。

これにより,債務者がどこに勤務しているかがわかりますので,給与債権を差押えることができます。

ただし,勤務先情報は高度なプライバシー情報であるため,養育費を請求する権利や,交通事故の損害賠償請求権などといった限られた請求権についてのみ申立てが認められています。

また,この手続についても,後述の債務者の財産開示手続を先行させる必要があります。

 

3 財産開示手続の見直し

民事執行法には,従来から債務者の財産開示手続という制度がありました。

これは,債務者を裁判の場に呼び出して,財産内容を自ら申告させて情報を得るという制度です。

 

しかし,債務者が裁判に出頭しなかったり,虚偽の陳述をしたとしても,罰則が30万円以下の過料に留まっていたため,あまり利用されていませんでした。

そこで,不出頭等があった場合には,6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑事罰を科すなどの改正がなされ,強制力を担保しようとしています。

 

4 まとめ

以上述べたように,今回の民事執行法改正により,債務者の情報取得手続の選択肢が増えることになりました。

実際に制度が動いてみないとわからないところは多いですが,依頼者の権利実現のために,積極的な利用を検討したいところです。

 

 

 

バンビシャス奈良


8leHXF8z_400x400このたび,弊所は,Bリーグというプロバスケットのリーグに所属している「バンビシャス奈良」のサポートカンパニーとなりました。

最近では,八村塁選手の活躍でバケットボールに特に注目が集まっおり,日本でもBリーグが人気だそうです。

バンビシャス奈良を2012年に立ち上げた加藤真治社長は,奈良高校,京都大学の出身で,銀行員を経て,一念発起され,仙台でのプロバスケットチームの立ち上げに協力されたそうです。

その後,故郷の奈良県にもプロバスケットチームを,とのことで,奈良県に戻り,苦労に苦労を重ねて「バンビシャス奈良」を設立されたとのことです。

実は昨年以降,「バンビシャス奈良」は財政難のためプロリーグ陥落の危機にありましたが,ロート製薬を新たにスポンサーに迎えて,今年1月にその危機を脱しました。

私も,もともと母親が奈良県出身というご縁もあり,また加藤社長とは同い年で地域応援の気持ちから,「バンビシャス奈良」を応援することにしました。

といっても,ユニフォームに名前を出していただくほどではなく(それには何千万円もかかります),パンフレットに広告を載せたり,チケットを定期的に購入するという小さな貢献です。

それでも精一杯応援を続けたいと思っておりますので,皆様も,是非ご注目ください。              文責 中村和洋

奈良マラソン参戦記


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あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

本稿では,12月上旬,髙田脩平が奈良マラソンに参加してきたご報告にお付き合いください。

遡ること10年近く前,司法試験の勉強を始めたばかりの私は,一日中机に向かう生活に「このままではいかん!」とランニングをはじめました。とはいっても,モチベーションがないままに動き出すのも辛いので「年に1回はフルマラソンを走る!」と決めてスタートしたのです。

たしかにそれ以来,毎年フルマラソンを完走しており,大阪・京都・神戸はもちろん,はるばる沖縄にまで遠征したこともありました。ただ,毎回,練習不足のままぶっつけ本番に近い状態で挑むため,ゴールした後には「もう二度と走らん…」と強く思うのです(これは市民ランナーあるあるかもしれません…)。

それでも自分が忘れっぽい性格だからか,あるいはランナーズハイになる感覚が忘れられないからか,3か月もすると次の大会にエントリーするという繰り返しになっています。

今シーズンは東京マラソンや大阪マラソンに応募したものの,相変わらず高い抽選倍率のおかげで軒並み落選した結果,申込みの先着順でエントリーできる奈良マラソンを走ることになりました。(とはいえ,奈良マラソンも申込み開始から30分程度で1万人を超える定員が埋まってしまうほど人気の大会です)。

さて,いよいよ当日。スタート時は曇り空でしたが,ランナーにとっては寒すぎず暑すぎず,走りやすい環境となりました。

奈良マラソンのコースは鴻ノ池陸上競技場がスタート。平城宮跡や奈良公園を通って天理まで南下し,25キロ過ぎで折り返した後,競技場まで戻ってくるというもの。

序盤は風光明媚なコースで観光気分を味わえるのですが,17キロを過ぎた頃から天理市の折返しに向けては一気に急勾配の山間部を走ります。私が奈良マラソンを走るのは2014年に続いて2度目。

前回は山登りで一気にスタミナを奪われ失速したので,今回は序盤から無理せず淡々と走った結果,なんとか折返し地点までたどり着きました。

折り返してすぐのところ,天理大学の敷地内では温かいお汁粉が振る舞われるため,多くのランナーが足を止めて一休みします。私もここで初めて足を止めて美味しいお汁粉をいただくと,もう動けません!

再び走り出したものの,一気にペースが落ちてしまいました。

コースの沿道では忌野清志郎にインスパイアされた?奈良マラソンの名物おじさんが大音量で歌っていたり,子どもたちがハイタッチしてくれたりと,たくさんの応援をいただくものの,30キロ過ぎにガス欠となった私の足は重いまま・・・。

いわゆる30キロの壁に見事に正面衝突しました。あまりに疲れた顔をしている私をみかねてか,なんと,コース上では有森裕子さんとハイタッチしてもらうことができました。

というわけで,終盤はもはやタイムなんて気にしていられず,なんとか完走を目指しつつ,途中で振る舞われている三輪そうめんなどを軒並みいただくという食べ歩きツアーと化してしまいます。

結局,過去2番目に遅いタイムでなんとか完走となりました。走り終わってまだ1か月。

ようやく完走直後の「もう二度と走らん…」という気持ちも収まってきたので,2020年は心機一転,しっかり練習してまた挑戦しようと思います。

みなさんも運動不足解消にいかがですか。

加算税と刑事罰について


弁護士の荒木誠です。 

先日,有名お笑い芸人が国税局から多額の申告漏れを指摘されたということでニュースになっていたのは記憶に新しいと思います。 

報道の中では,無申告加算税のほか,重加算税も課されていたため悪質だと指摘するものもありましたが,これら加算税の違いをご存知の方はそれほど多くないのではないでしょうか。 

加算税は,税金の中でも特に馴染みが薄いと思いますので,内容を解説します。また,関連する刑事罰についても概説しようと思います。

1 加算税とは

加算税は,納税者がきちんと申告を行うよう促進するために,申告を怠った場合に課される「附帯税」の一種です。

 附帯税とは,所得税などの「本税」とは別に課される税金をいいます。

 なお,加算税は「罰金」と言われることもありますが,刑事罰として課される罰金とは異なるものですので,加算税に加えて罰金が課されることもあります。

 加算税の種類としては,①過少申告加算税,②無申告加算税,③重加算税などがあります。

 計算としては,いずれも支払わなかった本税に対して一定の課税割合を乗じた金額が,加算税の金額になります(その他軽減措置等がありますが今回は割愛)。

 ①過少申告加算税

申告期限内に申告書を提出したものの,修正申告などで結果的に金額が過小になったときに課される加算税です。

 課税割合は,金額によって異なりますが,10%または15%です。

②無申告加算税

 申告期限内に申告をせずに,期限後に申告したり,あるいは決定によって税額が確定した場合などに課される加算税です。

 課税割合は,15%(50万円超の部分は20%)です。

③重加算税

 税額の計算の基礎となる事実について,「仮装」や「隠蔽」がある場合に限って課される加算税です。

これは,より悪質なケースについて,過少申告加算税や無申告加算税に代えて,より割合の高い重加算税を課すというものです。

 課税割合は,過少申告加算税に代えて課される場合には35%,無申告加算税に代えて課される場合には40%もの高率になります。

 ここでいう事実の隠蔽とは,売上の除外や,証拠書類の廃棄する行為などが該当します。

 意図的に一部の所得をつまみ出して過小に申告した場合(いわゆる「つまみ申告」)には,申告した部分以外の所得を隠蔽したことになるので,事案によっては重加算税の対象になりうるものと考えられます。

 また,事実の仮装とは,実際には存在しない架空の仕入等の経費が存在するものと見せかけたり,名義を偽るなどの行為をいいます。

 なお,期限内に納税していない場合には,加算税のほかに「延滞税」も発生します。

 延滞税とは,期限までに納税しなかった場合に発生する遅延利息に相当するものです。

 利率は年度によって変動があるのですが,例えば,今年であれば年8.9%です(ただし,納期限の翌日から2か月以内の部分は年2.6%)。

 

2 刑事事件になる場合

 また,加算税が課されるような事案は,同時に刑事事件に発展することもあります。

①単純無申告犯

 正当な理由なく,納税申告書をその提出期限までに提出しないことは,それだけで犯罪になりえます。

法定刑は,1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

②申告書不提出犯

 平成23年の法改正によって,単純無申告犯のうち違法性が強いものを,申告書不提出犯として処罰することとされました。これは,故意に申告書を期限までに提出しないことによって税金を免れるという犯罪です。

 こちらの法定刑は,5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはその併科と規定されています。

③ほ脱犯(狭義の脱税犯)

偽りその他不正の行為」によって,税金を免れた場合に成立する犯罪です。

 法定刑は,10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科です。また,脱税額が罰金刑の上限を超えるときは,罰金を脱税額以下にすることも法律上可能ですので,罰金が1000万円を超える場合もあります。

 ここでいう「偽りその他不正の行為」とは,ほ脱の意思をもって,税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難ならしめるような偽計・工作を行うこと,と考えられています。

 例えば,帳簿書類への虚偽記入,二重帳簿の作成などの隠蔽工作がこれに該当します。

  もちろん加算税が課された事案の全てが刑事事件になるわけではありませんが,例えば,もし国税局からの査察調査が入った場合には刑事事件となる可能性もありますので,早期に弁護士に相談されることをおすすめします。

 

非弁行為について


 弁護士の中村和洋です。

 近年,賃貸借契約終了時の敷金返還をめぐって,弁護士資格のない業者が交渉に入ったり,退職代行サービスと称して,退職手続を代行する業者が多くみられます。

 しかし,これらの行為は,いわゆる「非弁行為」として,弁護士法に違反し,刑事罰が科されることもあります。

 また,弁護士以外のいわゆる隣接士業として,行政書士,司法書士,税理士などがありますが,これら士業の業務は,法律によって限定されており,それに違反すると,やはり弁護士法違反の問題が生じます。

 弁護士以外の者に法律事務をお願いしてしまうと,依頼した方も,後に警察の捜査に巻き込まれてしまうなど,大変なことになってしまうおそれがあります。

 そこで,今回は「非弁行為」について少し詳しく解説します。 

1.弁護士法の規制

 弁護士法では,非弁行為について,以下のような規制があります。

弁護士法72条

 弁護士又は弁護士法人でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,非訟事件及び審査請求,再調査の請求,再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他の法律事務を取扱い,又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし,この法律又は他の法律に定めがある場合は,この限りでない。

弁護士法73条

 何人も,他人の権利を譲り受けて,訴訟,調停,和解その他の手段によって,その権利の実行をすることを業とすることができない。

 弁護士法72条がいわゆる「非弁行為」というものです。

 報酬を得る目的で,法的な紛争に関して,他人と交渉をしたり,法律相談に応じることを業とすることはできません。

 これに対する違反については,2年以下の懲役又は300万円以下の罰金という重い罰則があります(弁護士法77条3号)。

 なお,大学の法律サークルによる法律相談や,高齢の父親が所有する土地の用地買収について子供が代わって交渉をするような場合には,それぞれ「報酬を得る目的」がなければ,許されます。

 弁護士法73条は,例えば,他人から債権の譲渡を受けて,その取立てをすることを業とすることを禁止するものです。

 このような行為は,法律上,特別の許可を受けた債権回収会社(サービサー)以外は行うことができません。違反は,同じく,2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(弁護士法77条4号)。

 

2.事業として許されない行為

(1)明渡し時の敷金返還交渉

 インターネットで,「敷金 代行」などと検索すると,敷金返還についての示談代行サービス業者が複数表示されます。

 しかし,賃貸借契約解約に伴って返還される敷金の金額等について交渉することは,正に法律事務に他ならず,このような代行業者の多くは非弁行為をするもので,違法です。

 おそらく,建前は原状回復費用の査定を行っているだけで法律事務ではないということなのでしょうが,実際には,貸主に送る書面の起案や,交渉への立会いをしている場合も多いようです。

 このような行為は違法ですから,借主としては利用してはいけませんし(後日,犯罪捜査の対象となって巻き込まれる可能性があります),貸主側としても,代行業者は正式な代理人とは認めず,交渉の相手方としないという毅然とした態度が必要です。

(2)退職代行

 最近,増えてきているのが,退職代行サービスです。

 これも,「退職 代行」で検索しますと,多くの業者がヒットします。

 退職金等の退職条件を交渉することはもちろん,退職の意思表示をすることも法律行為ですから,弁護士以外で,有料でそのような行為を行う業者は,弁護士法に違反する可能性があります。

 ですから,退職代行業者から連絡を受けた使用者としては,本人又は弁護士が相手でないと,正式な退職の申出とは認められないし,話合いはできない旨伝えて,そのような業者とは一切交渉しないということも考えられます。

 敷金返還交渉にせよ,退職代行にせよ,代理人として認めないと言っているにもかかわらず,業者が強引に交渉の場に入ってこようとする場合はどうすればいいでしょうか。

 その場合には,警察等への告発や,大阪弁護士会の72条委員会への通報によって対応することが可能です。

(3)権利実行目的での他人の権利の譲り受け

 例えば,ある会社に債権を有しているところ,その会社が持っている第三者への債権の譲渡を受けて弁済に充てるという場合があります。

 そのようなことを繰り返し行うのでない限り,「業とした」とはいえませんので,適法です。

 ただ,「業」とは,実際に反復,継続するだけではなく,反復,継続する意思で行うだけで足りると解されています。

 ですから,債権譲渡を受けてそれを回収することを事業としようと考えて行った場合には,1回だけであっても,弁護士法に違反してしまいますので,注意が必要です。

 

3.他士業ができる範囲

 行政書士は,行政への提出文書や権利義務・事実証明に関する文書の作成だけが許されています(行政書士法1条の2)。

 ですから,相手方と交渉したりすることはもちろん,どのような内容や条件で契約をするかなど,法律相談に応じることもできません。

 司法書士は,簡易裁判所の管轄に属する民事紛争については代理権があります(司法書士法3条6号,7号)。

 簡易裁判所で取り扱う事件は訴訟の目的の価額が140万円までとされていますので(裁判所法33条1項1号),その金額を超えるような案件については,司法書士は,代理はもちろん,法律相談にも応じることはできません。

 税理士は,経営者にとって最も身近な士業の一つです。常日頃の経営相談や,相続対策の相談をすることもよくあると思います。

 しかし,例えば債権回収について法律相談に応じたり,契約書や内容証明文書を起案したりすることはできません。また,遺産分割の交渉をすることや,相続税の申告書に添付する必要がある場合を除き遺産分割協議書の起案をすることも,税理士の権限外になります。