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Archive for 10月, 2014

カルテル規制とリニエンシー

水曜日, 10月 8th, 2014

61szi3xSIaL本年9月に,共著として「カルテル規制とリニエンシー-課徴金減免制度の考察と活用」を三協法規出版より,上梓しました。

カルテルとは,価格カルテルなどのように,複数の企業が独占禁止法に違反して協定を結ぶことですが,その事実について,公正取引委員会に申告(いわば自首)することで,多額の課徴金の減免を受けたり,刑事訴追を免れる場合があります。これをリニエンシーといいます。

リニエンシー制度を解説した書籍はいくつかありますが,今回出版された上記書籍は,最新の情報が記載されている上,非常に実務的でわかりやすくなっています

私が執筆を担当した部分は,

①カルテルは,どのようにして発覚するか(89~95頁)

②社内調査を行なうときの具体的な留意点(115~127頁)

③刑事事件となった場合,あるいは刑事告発されないための対応策や,行政処分への対応について(194~296頁)

です。

特に,①では,どういう段階で弁護士に相談すべきか,また,②では,証拠の集め方や関係者からの事情聴取の仕方といった具体的ノウハウ,③では,刑事弁護人としてどんな働き方をすべきか,ということについて踏み込んで解説しました。

企業の経営者や監査役,法務担当者の方,あるいは,独占禁止法に興味をもっておられる大学生,ロースクール生,司法修習生の方に大いにご参考になるものと思っています。

 

はずれ馬券裁判(税務訴訟)の一審判決

木曜日, 10月 2nd, 2014

競馬の払戻金で得た所得に関する事件の税務訴訟について,本日,大阪地方裁判所が判決を言い渡しました。

この裁判は,既に大阪地裁,大阪高裁で判決がなされている刑事事件(現在,検察官が上告受理申立てし,最高裁に係属中)とは異なり,税務署が行った課税処分の取消しを求めている行政裁判です。

大阪地裁第7民事部は,原告(納税者)側の主張をほぼ全面的に認め,はずれ馬券を必要経費と認めなかった課税処分の大部分を取り消しました。

これは,刑事裁判の判決の内容と同様であり,これで,国の主張は,3回連続で裁判所によって排斥されたことになります。

今回の判決でも,本件の馬券の購入行為は,広く回収率を高めることを目的として,競馬予想ソフトを利用して独自の手法に基づき,多数のレースを対象に継続的に多数回にわたって広く馬券を購入することによって払戻金を得ていたものであるから,「営利を目的とした継続的行為から生じた所得」であり,「雑所得」に該当するものとし,はずれ馬券の購入費も「必要経費」として控除されるものとされました。

刑事事件については最高裁に係属していますが,もはや,誰が考えても,これまでの国の主張が非常識で,誤ったものであることは明らかです。

これ以上,競馬ファンの混乱を招かないためにも,国はメンツにこだわって結論を先延ばしにすることをやめ,一日もはやく,この事件を収束させ,払戻金を非課税にしたり,あるいは一定の低率な税を課して源泉徴収を行うなど,合理的で分かりやすい課税制度を構築して,その内容を国民に知らしめるべきではないでしょうか。