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不祥事発生時の内部調査について


大津1 不祥事発生時の内部調査の重要性

 

私は,以前に福知山市や大津市の不祥事調査委員会で,公務員の不祥事案件の調査を担当いたしました。

公務員に限らず,ベネッセの個人情報流出問題や,東芝の不正会計問題など,最近でも,企業の不祥事は,後を絶ちません。

この種不祥事に対する世間の見方は厳しく,その対応を誤ると,企業の存亡にもかかわるといえるでしょう。

企業をとりまく不祥事としては,ほかに,食品偽装,取締役や従業員の横領・背任,贈収賄,反社会的勢力との不適切な取引等があります。

それらが起こった場合,まずは企業が内部調査を行なうことで,早期に事実を解明し,適切な対応をすることが大切です。

 

2 内部調査の注意点

(1)メンバーについて

調査は密行性が高いので,まずは少数精鋭です。

調査チームのリーダーは経営陣かそれに近い者が必要です。

守秘義務,高度の法律判断という観点から,弁護士を選任する場合もあります。

(2)証拠書類等の収集,確保

内部調査で第一に行なうべきことは,客観的資料の確保です。

問題となっている事案に関連する契約書その他の書類,帳簿,電子データ等をまず確保すべきです。

その上で,関連書類等のリストを作成します。

また,原本や電子データが後に破棄されたり,失われないようにしなければなりません。

(3)証拠書類等の内容の検討

あるはずの証拠がないことについても注目する必要があります。

また,書類等については,改ざんの痕跡などを確認するため,必ず調査担当者は,原本を確認する必要があります。

(4)関係者からの事情聴取

事情聴取する際には,やはり客観的な証拠との整合性に留意しなければなりません。よく証拠を確認した上で,5W1Hに沿って,具体的な事実を聴取します。

 

3 まとめ

企業不祥事については,事前の防止策だけでなく,発生した場合にも,病気の治療と同じく,早期に事実を発見・調査することが重要です。