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個人情報保護について


 みなさんは官報をご覧になったことはありますか。

 官報では,法令の公布が行われるほか,閣議決定事項や叙勲・褒章に関する事項といった国の広報,地方公共団体や裁判所の公告事項などが広く掲載されます。

 実は,行政機関の休日を除いて毎日発行されており,紙媒体のほかにインターネットでも過去30日間分を無料で閲覧することができます。

 司法試験合格者の氏名が掲載された官報などで購入希望者が殺到することもありますが(私も1部入手しました),大半は官公庁や図書館などで定期購読されているだけですから,実際に目にされる機会は多くないかもしれません。

 そんな官報には,破産手続開始決定の公告として,破産者等の個人情報が掲載されます(破産法32条)。

 破産手続は,債権者に多大な負担をかけて債務者の財産関係を清算するものですから,個人情報の公告自体はやむを得ないところですが,当然,その個人情報は本人にとっていつまでも自由に知られてよいという情報ではありません。

 7月29日,国の個人情報保護委員会は,官報から収集された多数の破産者等の個人情報をウェブサイトに掲載している2事業者に対し,個人情報保護法に基づき,当該ウェブサイトを直ちに停止するように命じました

 個人情報保護法は,個人情報の収集に際して本人に対する利用目的の通知・公表を義務づけていて(個人情報保護法18条),個人情報を第三者に提供するには,原則として本人の同意を得なければならないと定めています(同法23条1項)。

 今回,停止を命じられたウェブサイトは,これらに違反しているとして是正勧告を経て停止命令に至りました。

 たしかに,破産者の情報を知りたいという需要が存在することは理解しますが,破産者の個人情報が蔑ろにされてよいということにはなりません。

 (私にはおよそ信じられないのですが,)アイドルやプロ野球選手などの自宅住所が雑誌に公開されていた時代とは異なり,現在は,卒業アルバムですら住所の記載がされなくなるほど個人情報の重要性が浸透しています。

 そうすると,一度は官報に掲載された情報であるといえども,破産者の個人情報も保護されるべきといえます。

 ところで,今回ウェブサイトの停止が命じられた2事業者については,所在不明となっているようです(そのため,公示送達の方法により命令の効力が生じています)。

 インターネット上で個人情報が公開された場合の被害回復の難しさを感じさせられるニュースとなりました。

(文責:弁護士 髙田脩平)