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Archive for 8月, 2018

外国公務員への贈賄罪

月曜日, 8月 13th, 2018

先月,タイの発電所建設を巡る外国公務員に対する贈賄事件について,今年6月から導入された「司法取引」が摘要され,日本の法人が不起訴処分になったとの報道がありました。

外国公務員に対する贈賄は,日本の不正競争防止法に違反し,罪に問われます。

この罪は,外国の公務員に対して,営業上の不正な利益を得るために金品を供与する行為を処罰するものです。

その刑は,5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金,また,会社にも3億円以下の罰金が科されるという非常に重いものです。

アジアで業務展開するには袖の下を送るのは必要悪だという感覚が以前はあったかもしれません。

しかし,現在ではこのように日本国内での犯罪になってしまうので,十分な注意が必要です。

平成21年にも,ベトナムのハイウェイ建設計画のコンサルタント業務受注に対する謝礼として82万ドルを供与したという事案がありました。

同事案では,元役員に執行猶予付きの懲役刑が科され法人が7000万円の罰金に処せられました。

日本における外国公務員に対する贈賄罪の摘発例はあまり多くありませんが,OECDからは,もっと積極的に摘発するように改善を求められているところです。

談合やカルテルも,以前は,日本での摘発は活発ではありませんでした。

しかし,外国からの強い圧力によって,厳罰化,摘発の積極化の方向に進んでいます。

外国公務員に対する贈賄罪も,急に活発に摘発がなされる可能性は否定できません。

したがって,海外の工場,営業所,あるいは海外での営業を担当する従業員に対しては,絶対にこのようなことのないよう周知徹底が必要といえるでしょう。