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Archive for 12月, 2017

永田眞三郎先生のこと(追悼)

火曜日, 12月 19th, 2017

nagata今年11月10日,関西大学元教授の永田眞三郎先生がご逝去され,本日お別れの会がありました。

永田先生は京都大学大学院卒業後,関西大学で民法の研究・教育に携わられ,2000年から2003年までは学長を務められました。

私は学生時代,永田ゼミに所属していました。

温厚でありながら時に厳しく,学生思いの教育熱心な先生でした。

私は,司法試験の勉強をしていましたが,4回生のとき,そのまま就職せずに受験勉強を続けるべきかどうか,非常に悩んでいました。

私は父親が40歳のときに産まれた子でしたので,当時,既に父親は会社を退職し,収入がありませんでした。

そのため,私が就職もせずに受験勉強を続けることは,家族に大変な迷惑をかけてしまうのではないかと思っていたのです。

ある日,私の両親が永田教授に面談をする機会をいただきました。

そのときに,永田先生から「私はたくさんの学生を見てきているが,中村君はきっと司法試験にパスする。」と言ってくださいました。

それを聞いて私は心から嬉しく,必死で勉強をがんばろうと思いましたし,また,両親も私が就職活動をせずに勉強を続けることを許してくれました。

今でもご恩に感謝しています。

私の父親は旧制中学卒,母親は定時制高校卒でしたので,大学教授のような偉い人に会ったことがなく,大変緊張していたそうです。

しかし,面談から,帰ってくるなり,「大学教授ってどれくらい固くて怖い人かと思ってたけど,すごく紳士で,優しくて話しやすい方で安心した。」と言っていました。

私がその後,検事,弁護士となってからも,永田先生の還暦や古稀のお祝いなどでお会いし,近況を報告していました。

学長をされているときは大変お忙しそうでしたが,数年前には再びゼミ生を教えることになったと言われ,嬉しそうにされている様子から,「先生は,本当に学生が好きなんだな。」と思いました。

大変わかりやすい授業で,書かれた教科書(有斐閣Sシリーズ「民法Ⅲ」,「エッセンシャル民法2,3」など)も読みやすく,かみくだいた内容で非常にありがたかったことを覚えています。

晩年まで病気を抱えつつも常務理事として関西大学の運営に協力されており,無理をされたのではないかなと思います。

享年74歳でした。ご冥福をお祈りいたします。

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