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Archive for 10月 22nd, 2013

法律相談コーナー①(遺言について教えて)

火曜日, 10月 22nd, 2013

3-001私は俳句,謡,将棋を趣味にしており,また,ほんのわずかですが地域のボランティアの活動もしておりますので,普段から高齢者の方と接する機会が多いです。

そこで,このブログでも,主に高齢者の方向けに,ごくごく入門的な法律相談としてQ&Aコーナーを連載することにいたしました。

なお,画像は私がよく利用させていただく梅田公証役場の地図です(法務省のホームページから引用)。ヨドバシカメラから徒歩数分の便利な場所にあります。

 

Q 私には長男と長女がいます。長女は遠方に嫁いでおり,私は夫に先立たれたので,現在,長男と2人暮らしです。

私が亡くなった後のことですが,長女にはこれまで生前贈与をしていることもあり,自宅の不動産は,長男だけに遺したいのですが,どうすればいいですか(相談者・八重さん〈仮名〉80歳)。

 

 八重さんの相続人は,長男と長女の2人です。相続分はそれぞれ2分の1ですから,八重さんが亡くなった場合,自宅の不動産は,長男と長女とで,それぞれ2分の1ずつの共有になります。そこで,長男だけに相続させたいのであれば,遺言書を作成する必要があります。

遺言書には,いくつか種類があります。例えば自筆証書遺言は,自分1人で書けるので簡単ですが,本人の自筆かどうかの確認や保管の問題,裁判所の検認が必要であるなど面倒な点もあります。

将来の争いを防ぐためには,公証役場で公証人に作成し,保管してもらう公正証書遺言が最適です。

手続は,公証役場に行って事前に申し込みをし,戸籍や印鑑証明など必要な書類を準備すれば,意外と簡単に作成できます。公証人に支払う費用は,例えば財産が5000万円の場合は2万9000円です。

その他,2名の証人が必要ですが,心当たりがない場合でも,公証役場で紹介してくれるので大丈夫です。

ただ,遺言書を作成した場合でも,長女には自らの相続分の更に2分の1について遺留分という権利があり,八重さんが亡くなった後に長女がその権利を行使すれば,自宅不動産の4分の1を相続することができます。

しかし,長女が生前に住宅資金など生計のために贈与を受けていれば,それは先に相続をしたものとして扱われますので,その場合には,必ずしも不動産について遺留分があるとは限りません。

また,遺留分による争いを事実上防ぐために,遺言に「付記事項」として,長男だけに自宅不動産を遺すことの意味(先祖伝来の土地を守るためなど)を書いておくのも良いでしょう。