スクールロイヤーとは
- 2017年04月21日
- その他法律
私(中村)は,一昨年,地元の公立小学校のPTA会長を務めさせていただきました。
それまで授業参観や運動会の見学に行ったことがあるくらいで,学校のことは何も知りませんでした。
しかし,PTA会長として校長先生や教頭先生とも直接話をする機会も多くなり,先生方がどんなことで苦労をされているのか,いわば学校の裏側を知ることができました。
おかげで,弁護士としても貴重な知識・経験を得たと思っています。
さて,一般的に,学校においては,実は色々な法的な問題が関係します。
いじめなど子供同士の関係,近隣住民や保護者からの苦情やクレームへの対応,教員の子供への体罰など問題のある言動,教員間でのパワハラやセクハラ,学校内での事故などです。
それらが実際に発生した場合への対処だけでなく,どう予防するかという問題もあります。
学校の先生方は,多忙な中,上記のような色々な問題への対応に追われていますが,専門家からの適切なサポートを得られていないというのが実際のところです。
そこで,学校に対して継続的に法的なアドバイスを行う弁護士が必要だと言われています。
これを「スクール・ロイヤー」といいます。
例えば,保護者からの不当なクレームを例に挙げます。
一般企業であれば,不当なクレームには毅然とした対応をすればよい,一切応じる必要がないというアドバイスをすれば足りる場合がほとんどです。
しかし,学校の場合は,子供の教育を継続的に行っていく関係上,保護者との信頼関係の醸成が不可欠です。
そこで,子供にとって最善の利益となることを一番に念頭に置きつつ,保護者との継続的な信頼関係に努めなければなりませんが,かといって,学校側,特に矢面に立つ教員に過大な負担をかけないようにしなければなりません。
それには教育にも理解のある法律の専門家が,法的な観点から第三者の目で学校に協力していく必要があります。
弁護士はこのような役割を期待されています。
また,いじめ,パワハラ,セクハラ,学校事故があった場合の事実調査や法的責任の判断については,法律家の助言は欠かせません。
最近では,LGBTなど性差別への対応も必要となっています。
学校での教育現場を垣間見た経験を,今後の弁護士活動にも生かしていきたいと考えています。