競馬の税金事件の現状
- 2013年09月25日
- 税務・行政
競馬により多額の払戻金を得た方に対して,儲けを大きく上回る所得税の課税がなされ,単純無申告罪として刑事責任を問われた件の続報です。
報道のとおり,今年の5月23日に,有罪判決にはなったものの,はずれ馬券の購入費も全額経費に認められるという実質納税者勝訴といっていい判決が出ました。
その後,検察官が控訴し,現在,大阪高等裁判所に事件が係属中です。検察官からの控訴趣意書がいまだ提出されていないため,期日も決まっておりません。
また,刑事事件とは別に,課税処分の取消しを求めて,大阪地方裁判所に行政訴訟も提起しておりますが,これも,国側と主張のやりとりをしている段階で,まだ結審はしていません。
いずれも,国側が何か月もの準備期間を取っており,「時間稼ぎ?」と思われる面がないではありません。
ひょっとしたら,国税庁内部で競馬の課税についての制度を議論していて,それに時間を要しているのかもしれませんが,よくわかりません。
調べたところでは,アメリカ合衆国では,競馬の配当金については,はずれ馬券も配当金で得た金額を上限に全額経費として認められているようです。
日本では,きちんとした制度設計をしないままでした。そして,従来の素朴な考え方に基づいて課税をしたため,今回の事件のような不合理な処分となっています。
マスコミの取材で何度もお話しましたが,私は,競馬の払戻金については非課税の立法措置を施して欲しいと思っています。それが結局,競馬の売上を上昇させて,国庫の収入増加をもたらすのではないでしょうか。
これ以上,依頼者を不安定な状態におかないように,また高額馬券の配当を受けた人を不安に陥れないように,はやく解決して欲しいと心から望んでいます。