フランスにおける馬券に対する課税について
- 2013年12月20日
- 税務・行政
前回はアメリカ合衆国における馬券の払戻金に対する課税について説明しました。
今回は,フランス共和国における馬券に関する税について,どのようになっているのか紹介します。
凱旋門の画像を引用しましたが(Wikipedia),パリ郊外のロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞は,日本でも有名ですね。
さて,フランスの競馬では,馬券購入時に,購入価格の3.8%について,一律に税金がかかります。これは,日本の印紙税のようなものです。
フランス語ではありますが,以下のフランス政府のサイトに解説が載せられています。
これ以外には,フランスの場合,一定の富裕層に対して,富裕税(総資産から総負債を差し引いた純資産に課税する税金)が課される場合があります。
馬券の払戻金において,一定の富裕層に純資産が増加した場合には,この富裕税の対象になる場合があります。ただ,これは純資産が増加していることが前提ですので,トータルで競馬で損をしているのであれば,払戻金について税がかかるということにはなりません。
在日フランス大使館に問い合わせたところでも,フランスの場合,これら以外には馬券の払戻金に対する課税はないとのことでした。
要するに,フランスにおいても,外れ馬券の購入費を度外視して,払戻金と当たり馬券の購入費との差額だけを取り出して,そこに所得税を課すというような仕組みにはなっていません。日本の国税当局が主張しているような,競馬でトータルの成績では損をしているのに,外れ馬券の購入費を度外視して多額の所得税をかけるという考え方は,国際的にも非常識なものです。
フランスの競馬は凱旋門賞で有名ですが,イギリスやアメリカと並んで競馬の本場ともいえる国です。
また,担税力(税金を支払うに足りる能力)がある場合に限って税を課すという考え方は,近代の租税法では常識です。
このようなフランスでの制度は,日本における競馬の払戻金に対する課税を考えるにあたっても,十分参考になるといえるでしょう。