共同事務所と個人事務所の強みと弱み
一般に,弁護士が複数所属している事務所を共同事務所,弁護士1~2名くらいで運営している事務所を個人事務所といいます。
共同事務所には,弁護士3~5名くらいの比較的小規模なものから,東京の大事務所のように数百名の弁護士を擁する大企業のような事務所もあります。
私が以前に所属していた事務所は弁護士が二十数名いましたので,大阪では比較的大きな共同事務所でした。今は独立して,弁護士は私1人ですから,典型的な個人事務所です。写真は,私の事務所のある「西天満大治ロイヤービル」ですが,このビルには他にもいくつか法律事務所がありますが,いずれも個人事務所です。
さて,それら共同事務所,個人事務所双方の特徴について考えてみたいと思います。
①共同事務所の強み
・専門分野の異なる弁護士が集まることで,事務所全体として総合化できる(ただし,事務所ごとの得意分野,カラーというものはあるので,すべてをカヴァーすることは実際には難しい)。
・大型の破産や民事再生事件にも対応できる。
②共同事務所の弱み
・顧問先,依頼者の数が増大するので,利益が相反するとして事件を受任できない場合がある。
・マネジメントについて会議制となるので,決断に時間がかかる。
③個人事務所の強み
・利害相反のおそれが少ない。
・大規模な案件をチームで抱えているということがないので,フットワークが軽く,依頼者のニーズに迅速に対応しやすい。
・マネジメントの決断が迅速。
④個人事務所の弱み
・当たり前ではあるが,弁護士が1人しかいないので,マン・パワーに限りがある。
・専門分野が限られる(ただし,これは専門分野に注力するということで,メリットにもなり得る)。
他にも色々あるでしょうが,こんなところでしょうか。両方を経験した私としては,依頼者のニーズによって,使い分けていただくことが大事かと思っています。医者と同じで,普段の診療は身近で相談しやすい,かかりつけ医に頼み,そこでは対応できない大きな病気になったら綜合病院を紹介してもらう,というように。
私も実際,海外がからむ複雑な案件のご相談を受けたときには,東京の大手法律事務所をご紹介したことがありました。海外のロー・ファームにも提携先があるような大きな法律事務所とのつながりは不可欠です。
なお,実際には一般的な案件では,共同事務所であっても事件を担当する弁護士は1~2名ですので,個人事務所とサービスの内容に大きな差はないように思います。結局は,弁護士個人の能力と,依頼者の方との相性が大きいといえるでしょう。
当事務所では,普段から個人事務所の特性を生かした上で,弁護士以外のスタッフの人員,能力を充実させること(現在,事務局スタッフは3名。うち1名は裁判所書記官出身者)や,IPADやメールを有効に活用することで連絡に遺漏がないようにすることを心がけています。それに,専門分野を拡大するための研鑽は不可欠です。
さらに,近い将来,当事務所でも,弁護士を複数にして一層サービスを充実させる予定です。
その上で,やはり身軽な事務所という特性を生かして,依頼者の身近に寄り添った姿勢で,お役に立ち続けたいと思っています。