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Archive for 12月 5th, 2013

講演と落語

木曜日, 12月 5th, 2013

DSC00005弁護士業務の中で,講演をする機会はたくさんあります。

多いのは,顧問先などに向けた法律のセミナーや,暴追センターでの不当要求の講演などですが,他にもロースクール生に向けた講演をしたり,先日は,大阪弁護士会で弁護士や事務員さんらを対象に,業務妨害の対策についての講演を行いました。

もともと人前で話をすることをそれほど得意としていたわけではありませんが,さすがに,たくさん数をこなすと慣れてきて,今では,それほど緊張しません。

ただ,ときどき,中学生や高校生相手に,少年法や労働法,あるいは法律の一般的なことを授業で話す機会がありますが,これが一番難しいです

たいていは午後の授業の時間帯であるということ,弁護士が身近な存在ではないのであまり興味がない子が大勢いること,話の内容が難しくなりがちであること,また,大人と違って子供はつまらないと思ったら寝てしまうことに躊躇がないことから,最初のころは,半分くらいの生徒が居眠りをしてしまうということもありました。

その後,色々工夫をして,検事や弁護士としての体験談を興味を持ってもらえるように話をしたり,途中でクイズを挟んだりするようになって,だんだん聞いてくれるようになりました。

しかし,50分の授業をずっと集中力を持って聞いてもらうことは至難の業です。

普段の講演を通して,「自分は少しは話がうまくなったかな。」と思ってしまいますが,その後,学生さんの前で話をして,「まだまだだ。」と反省をする繰り返しです。

そんなとき,私が参考にするのは,「落語」です。

落語は,着物を着た人が座布団の上に座って,一人で話し続ける,という一見地味な芸です。しかし,話し方,表現の仕方があまりに巧みなので,聴いていてもまったく退屈しません。ちなみに,私は,桂米朝師匠の落語が一番好きです。

私の講演でも,最初に「まくら」を持ってきて短いエピソードで演題に興味を持ってもらい,本題に入ってから,途中で,登場人物(賃貸人と賃借人など)が会話している様子を挟むなどして変化をつけるようにしています。

落語家のようにテンポ良く,しかも,笑いまでとってというわけにはいきませんが,「弁護士」という以上は,「弁」ずるのが仕事ですから,表現力を磨く修行はずっと続けて行こうと思っています。