ロースクール生や、予備試験を受験する方に、参考になればと思い、勉強の方法等について、私なりの考えをご紹介します。
司法試験については、正しい方法で、集中して、一定の時間勉強しさえすれば必ず通ります。
受験生のみんなが選択するようなオーソドックスな方法をとることが非常に大切で、後は勉強の絶対量で差がつきます。
私の場合は、大学1年生の終わりころから卒業1年目までの約4年弱勉強しましたが、週に1日は勉強しない休みの日をもうけていたので、1日平均4~5時間、合計すると4000~5000時間勉強しました。
1日10時間を目標にして、普段は午前9時ころから、午後8時ころまで勉強するようにしていましたが、やはり息抜きをしたり、用事があったりしますが、勉強時間が少なかった翌日には普段より多くするなどしていました。
その結果、平均しても、少なくとも4~5時間は確保できていたと思います。
ロースクールの3年間に換算しても、それくらいの勉強の絶対量は必要だと思いますから、目標として1日10時間以上の勉強を心がけてください。
机に向かってする勉強はもちろんですが、電車での移動時間中や、待ち合わせの待ち時間、寝る前のちょっとした時間といった細切れの時間をうまく活用することが大事です。
私は信号待ちの1分の時でも、六法を広げて、条文を1つ、2つ確認していました。受験勉強期間中は、テレビを見たり、ゲームをしたり、インターネットの動画を見るなどは御法度です。
また、3年かけて合格レベルに達しようとか、実力がつくまでは受験を控えようなどと思っていては、合格レベルの実力には近づけません。
1~2年で合格レベルに達するくらいの激しい勢いでがんばって、ようやく卒業時に合格レベルに達することができます。
司法試験の勉強法や受験の心構え等については、新司法試験に合格をした先輩がいれば、その方の話を聞いたり、あるいは合格体験談をたくさん読んだりして、情報収集を積極的に行ってください。
その際、批判的にではなく、素直に、柔軟性をもって聞くことが大事です。他の人のとった勉強法が100%、自分に合うということはなく、自分なりの工夫は必要なものの、合格者の体験からは、それぞれ、なにがしかのことが吸収できます。
受験生同士の情報については、根拠のないうわさ話も含まれていますから、あまり引きずられないようにして、決して情報に踊ることのないように、地道な勉強をするのが近道です。悩む前に勉強しろ、というのが鉄則です。
精神面では、勉強中、自分は司法試験に向いていないのではないかと落ち込むことがあるかもしれません。ただ実務家になって20年経つ私自身も、自分が本当に検事に向いていたのか、弁護士に向いているのかは、今でもはっきり分かりませんが、何とか前を向いてやっていっています。ですから、とりあえずは、「自分は司法試験に向いている。法律家に向いている。」と思いこんで、勉強をすることが大切です。
私は旧試験の合格者ですが、新試験であっても、問題が長くなっているだけで、基本として押さえるべき点は同じと考えています。
頭が良い人であっても時間がかかっている人がいますが、変にマニアックになるなど方法を間違っているからか、勉強の絶対量がそもそも少ないか、集中せずにダラダラ勉強しているかのどれかです。
司法試験で試されることは、
① 法律の基本的知識と思考方法を有していること、
② 事務処理能力があること、
③ 文章で表現できる能力があることです。
これらを身につけるための道具として、
① 基本書、
② 条文、
③ 判例
を繰り返し読み、
④ 問題演習
を繰り返す必要があります。
ほかに講義を聴いたり、参考書を読んだり、予備校の本を読んだりということは、あくまで補助的なものです。
これらの道具についても、各科目をつぶそうとすると時間が足りません。じっくり取り組むよりも、よく分からない場合でもなんとなく分かれば、スピード感をもって、どんどん先に進む姿勢が大切です。
基本書は絶対に奇をてらうべきではなく、多くの受験生が使っているスタンダードなものを必ず選んでください。
候補は何冊もあるでしょうが、私の目から見て、原則としてあえて1ないし2冊に絞りました。いずれも受験生が一般的に使用しているものです。
このどちらか好きな方を選んで、それ1冊(あるいは1シリーズ)だけを基本書として、2年間で選択科目以外は最低7回、選択科目は最低3回は読んでください。合格までには選択科目以外は8~10回、選択科目は5回程度読んでおく必要があります。
どんな基本書も一長一短はありますし、新しい本が出たり、他の本の方のことも気にはなると思いますが、浮気はしないことが大切です。
何度読んでも、どうしても自分に合わないといった余程のことがない限り、基本書は変えないことが大事です(ただ、受験生の多くが使っている本が自分に合わないということは、司法試験に向いていないということであり、あってはならないことだと思います)。
別々の本を3冊読むよりも、1つの本を3回読む方が絶対に力がつきます。
条文についても、各科目に関係する条文は、何度も素読してください。これをしていない人が意外に多いです。
択一では条文の知識が必須ですし、何より法律は条文が出発点です。私は模範六法の一部を切り取って製本し、持ち運び安くしていました。
電車の中、待ち時間などを利用して、読むことが大切です。
また、キーワード(例えば民法95条なら「要素に錯誤」とか)だけ線を引く工夫もいいと思います。
判例については、全科目について、判例百選の事案と判旨だけを読んで、2回目に読んだときには、ポイントとなりそうなキーワードだけに線を引いてください。
解説はわかりやすいものもあれば、そうでないものもあるので、原則読む必要はなく、どうしても読みたいものだけ斜め読みすれば結構です。判例百選の事案と判旨は最低3回は読む必要があります。
問題演習は、旧司法試験の過去問題や、新司法試験の過去問題、模擬問題を繰り返し解いてください。
予備校などから出ているもので、どれでも、適当なものを利用されればよいと思います。
旧司法試験の問題なら答案構成に15分~20分程度使い、40~45分で答案を書き(ただ答案を書く機会が別にあるなら、答案作成は省略可)、その上で、解答を見て、1問につき2時間程度勉強すれば次に進みます。
新司法試験なら、受験時間に合わせて、同じようなバランスで解いていけばいいと思います。
また、択一の過去問もそうですが、絶対に実際の試験と同じ時間かそれ以下で解く訓練をしてください。時間内に解けなければ、解けなかったものとして、答えを見てもかまいません。
その上で、何度も繰り返してください。インプットだけでなく、アウトプットの練習は非常に大切ですし、自分の実力を自覚するのに最適ですから、勉強の早い段階から、積極的に多くの答案を書いてください。
最近のいわゆる司法試験予備校のテキストは、以前に比べれば良く出来ているものが多いです。
答案例があったり、表やフローチャートがあったりして、わかりやすいですが、これを基本書にしてはいけません。
実務家になってから、参照できる本では到底ありませんし、内容にひょっとしたら誤りがあるというリスクもあります。定評ある学者の本なら、そのとおりに書いても減点は少ないでしょうが、予備校の本だと致命的です。あくまで基本書を理解するためのサブ的なものにしてください。
ただ、そのほか、問題演習本や、過去問の解説などは便利ですので、大いに予備校本を利用してください。ただ、解説はうのみにせず、基本書に当たるようにしてください。
予備校本は、非常によくまとめていて実戦的ですが、論述例もあったりするので、ついそのまま暗記しようとしてしまいます。
ですが、暗記できるような量ではありません。また、試験に必要かつ最小限のレベルで書かれていて、深みがありません。
100の能力をつけるのに、100かそれに満たないギリギリの本だけを読んでいては難しいと思います。予備校本だけで合格する人もたくさんいますが、暗記力に優れているなど、ごく限られた人ではないかと思います。
以下では、お勧めの基本書と参考書を絞って列挙しました(なお、版については省略しました。最新版を確認の上購入してください)。
候補を最低限に絞りましたが、これだけでも分量は大変です。あちこち本に手を出すよりも、ここに挙げた本をしっかりとマスターすることが大切です。
入門書については、私が読んでみて、特に良いと思ったお勧め本のみを記載しています。
ただ、各課目、まず全体像を把握することが大事なので、ほかにも、弘文堂のプレップシリーズ(完全に入門書。面白く読めます。)や、有斐閣Sシリーズ(入門書と教科書の間くらい)、伊藤真塾の「実務法律基礎講座シリーズ」など予備校が出している入門書を最初にざっくりと読んでみられるとよいと思います。
法律の基礎知識の上に色々な体系や知識を構築していくためには、何よりも土台がしっかりとしていることが大事なので、基礎の勉強を大事にしてください。
総論で述べたように、同じ本を繰り返し何度も読むことが力をつけます。
まず、最初に目次をしっかりと見てください。
その本がどんな体系、順番で述べているかの概略をつかんでください。
それから、1回目は、小説を読むくらいのスピード(なかなか、現実にはそうはいかないかもしれませんが、それぐらいの意識で)で、線を引いたりせず、速く読みます。分からないことが多いと思いますが、ペンディングにしておいて、どんどん読み進めます。1回通読したという事実が大事です。
2回目からはしっかりと読んでいきます。ややスピードを落として、理解しようと努めつつ読みます。
ただ、このときも、立ち止まって、10分くらい考えても、分からない記述は、やはりそのままにして先に読み進めます。
2回目に読むときには、定義に赤線を引いてください。
また、体系を理解するために、見出しにも印を付けることが大事です。私の場合は、例えば1という部分には、見出しを〈 〉でくくり、その下の(1)は□で囲い、更にその下の見出しには、順次、棒線、「」、()というように緑色で印を付けていました。こうすることで、今、全体から見てどういう位置づけのことが書かれているのかの理解が容易になります。
3回目からは論理構造についても色分けしつつ読みます。
私の場合、趣旨に青線、要件にオレンジ線、効果に黄緑線、条文に水色線、問題点に黒カッコ、判例を茶色で囲い、自説にピンク色カッコ、反対説に黄色カッコ、自説の根拠と他説の批判に紫色カッコを付けていました。
この作業は、後で読みかえすときにスピードアップするための工夫です。色や分け方は、各人の好みでいいと思います。
また、色分けそのものが目的になってはいけないので、必ずしも線を引きにくい場合には、とりあえず鉛筆で印を付けていけばいいと思います。
4回目以降は、色を付けたところを読んだり、色を補充したりして読みます。
どんどんスピードアップしてくるので、5回目以降は、1冊を1日で読めるようになります。
試験前には課目にもよりますが、1科目1~2時間で基本書1冊を読めるようにしておきたいです。
定義、趣旨、要件、効果については暗記する必要があります。
そのほか、問題点や自説の展開は暗記ではなく、論理の理解が大事であり、暗記すべきはごくわずかなキーワードのみ(「取引の安全」など)です。
問題演習を解いたり、判例を読んだりしたときにも、常に基本書のどの部分に記述があるか(あるいはないか)を確認してください。
そして、基本書の該当箇所に例えば「辰己問題演習P30」とか、「判例百選30」というように書き込んで基本書に情報を集約してください。
記述がない場合もありますが、そのときには論述例を大きめの付せんに書いてはったり、模範答案を縮小コピーしたものをはったりしていけばよいと思います。
1 憲法
(1)基本書
(2)参考書
※コメント
基本書①は、簡潔な本ですが、名著です。最低10回は読んでほしいと思います。①だけでは足りないので、憲法に限っては、②も合わせて読まれることを勧めます。昔は佐藤幸治「憲法」弘文堂、が定番でしたが、やや難解ですので、積極的にはお勧めしません(個人的には一番好きな本です)。
芦部先生の参考書①、②は非常によくできた内容で、必読です。
参考書④は最近出版された演習本で、問題数が豊富で司法試験向きです。
2 行政法
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書は最高裁判事を務められた藤田名誉教授の本で、良著です。
基本書①は、コンパクトで読みやすいです。もっと詳しいものとして、基本書②は定番の教科書で、判例の引用も多く、非常によくできています。基本書③は伝統的によく使われてきた本で、理論的な部分はこちらの方がしっかりしているかもしれません。見比べて、お好きな方を基本書にしてください。
3 民法
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書①は読みやすく、基本書としても良いくらいなのですが、網羅性が完璧とはいえず、これだけで司法試験合格レベルに持って行くのはやや難しいので、飽くまで入門書です。基本書①と②が定番です。②は我妻説以来の伝統的立場で、ややおもしろみに欠けますが、標準的な良テキストです。読んで面白いのは①であり、少数説に立っているところもありますが、通説・判例もしっかりと書いてくれているので気にすることはありません。ほかに、定評ある参考書としては、我妻栄「民法講義」岩波書店があり、参考書としては持っていてもいいですが、分厚すぎて通読に向かない上、古いです。
4 刑法
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
マニアックになりやすい分野なので気をつけてください。実際、私は法律の討論会に参加するサークルに属していたので、刑法は何冊も教科書を読んだり、最新の論文にも目を通すなど、マニアックに勉強してしまっていました。おかげで、刑法は得意科目でしたが、仮にマニアックになるとしても、一科目にしておいてください。
入門書①は非常に面白く、読みやすいです。ところどころレベルが高い部分もありますが、刑法への興味を引き立たせてくれる良著です。
入門書②は、私も著者の1人ですが、普通の会社員が巻き込まれてもおかしくない具体的な事例をもとに、犯罪となるかどうかなど、実務的観点から解説したもので、刑法を身近に感じることができると思います。
司法試験の基本書としては、以前は①か③が定番であり、感覚的に行為無価値(社会倫理重視)が好きなら①、結果無価値(客観的で合理性的な考え重視)が好きなら③ですが、どっちの説だと有利ということはありません。
最近、私が読んだ本では、②が行為無価値論の基本書としてはレベルが高く、なおかつわかりやすい好著だと思いました。やや哲学的な表現もあるので、刑法を得意科目としたい方には良いと思います。
また、基本書⑤も行為無価値の基本書ですが、理論的で分かりやすく、じっくりと取り組む価値のある好著です。
結果無価値では、③よりも最近では④の方がよく使われているようですが、③よりもレベルが高いので、刑法が好きな人向けと思います。
そのほか、大塚裕史ほか「基本刑法Ⅰ総論、Ⅱ各論」日本評論社、は判例中心の記述で、わかりやすくて受験向きとはいえるのですが、学説の引用が誰の説なのかや文献が明示されておらず、また共著ということで理論的整合性にもやや疑問があることから、個人的には、私の好みではありません。ただ、多くの受験生が使っているので、合えば良い本だと思います。
刑法は論理的一貫性が大事なので、総論、各論とも基本書は同じ著者にしてください。
参考書②は、イラストが大変分かりやすく、取り上げた判例の数や解説の分量も適切なので、判例百選が使いにくい人はこちらを使うと良いでしょう。
5 民事訴訟法・民事執行法・民事保全法
(1)基本書
(2)参考書
※コメント
基本書は①、②の2冊は甲乙付けがたい良著です。どちらを選んでも正解と思います。③は、①、②よりは分量が少なく、分かりやすいといえますが、個人的には、①、②に比較するとレベルの点では劣るかと思います。
なお、民事執行・保全法の分野は、民事訴訟法や民法の担保物件の理解に資するので、上原敏夫ほか「民事執行・保全法」有斐閣アルマ、など、入門書的な教科書に目を通しておかれるとよいでしょう。
6 刑事訴訟法
(1)基本書
(2)参考書
※コメント
実務に近いということでは、①の基本書が良いです。刑法で前田説をとっているかどうかとは全く関係ありません。②は裁判所書記官向けの講義案ですが、非常にわかりやすく、評価が高いです。ただ、捜査に関する記述があっさりしているので他の本で補充が必要です。
個人的には田宮裕「刑事訴訟法」有斐閣、記述が非常に分かりやすく(例えば、訴因と控訴事実の関係を鴨川の水の流れに例えた比喩は秀逸です)、理論的にも最高の基本書だと思っています。しかし、残念ながら著者が亡くなられて以降、改訂されておらず、現在の司法試験の基本書にするには古くなっています。
他には、田口守一「刑事訴訟法」弘文堂、が従来から定番と言われていますが、ややコンパクトな記述でわかりにくいところもあり、また、酒巻匡「刑事訴訟法」有斐閣、は最新の教科書ですが、ややレベルが高く、読みやすいとはいえません。
7 会社法
(1)基本書
(2)参考書
※コメント
基本書①は定番で、非常にわかりやすく、分量も適当だと思います。基本書②は非常に簡潔で、一読してわかりにくいですが、繰り返し読むことが可能ですし、細かい点は参考書にゆだねて、受験前の時間のないときに、短時間で復習したりするのに適しています。基本書③は最新の本で、①の共著者の1人であり、わかりやすく、今後の定番になる可能性が高いです。
参考書①は何でも書いてますので、辞書代わりにすればいいと思います。
8 商法総則、商行為法
(1)基本書
(2)参考書
※コメント
基本書①は分量が少なめですが、これ1冊を読めば、この分野は十分だと思います。
9 手形・小切手法
(1)基本書
(2)参考書
※コメント
旧司法試験と違って、新司法試験では手形・小切手法の重要度は低いようですが、最低限の基礎知識は必要かと思います。基本書①は、基本的に判例・通説を基調とするオーソドックスなものです。
10 要件事実・実務
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書①は記録編と解説編に分かれており、民事訴訟実務と要件事実の基本が学べる良著です。
また、ロースクールの講義では要件事実も触れられるはずで、民事法の試験には要件事実の基礎が分かっている必要があると思われます。基本書①、②はどちらも定番です。
参考書①は、実務家必携ともいえる本で、要件事実が網羅的に触れられていますので、辞書代わりに持っておけばいいと思います。
多くの受験生が選択している科目を取ることが、情報も豊富ですし、いいと思います。
また、実務家(弁護士)になってからのことをも考えると、労働法か、倒産法(どちらも選択者が多いです)を選ぶのがお勧めです。
しかし、どれを選択したから特に有利ということはないはずですから(選択科目の選び間違いで落ちるような人がもしいたとしても、その人はそもそも実力がありません)、多数に乗るか、余程興味のある法律を選ぶかしてください。
11 労働法
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書①、②はわかりやすいです。
基本書①は、分厚い教科書ですが、定番中の定番、実務でも必携書です。②はもう少しコンパクトなものですが、わかりやすい良書です。
参考書②は、よくまとまった演習本です。
12 倒産法
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書①は非常によくできた入門書です。
基本書①は、実務になってからも役立つハイレベルな教科書です。かなり分厚いですが、これぐらいの教科書を読んでいることで、司法試験レベルを容易にクリアできると思います。判例百選で取り上げられている判例で問題となっている論点を軸にしつつ、よく分からないところはとばしたり、斜め読みしたりしつつ、メリハリをつけて、はやく通読することが大切です。
基本書②は倒産法全般についてよくまとめられています。基本書①が重荷であれば、こちらを選択するのがよいと思います。
基本書③は、分かり易さという意味で良書だと思います。
13 租税法
税法は好きかどうかというところがあるので、入門書を読んで、もし興味が持てれば、選択科目にするのがいいと思います。実務でも大変役に立ちます。
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
まず、入門書①が面白いのでこれを読んでください。入門書②はちょっと無味乾燥ですが、本当によくまとまっています。③は入門書としては分厚いですが、さくさくと読めます。④は私が中心となって執筆したものですが、各税法のあらましを解説するとともに、興味深い判例を厳選してわかりやすく解説してあります。コラムもあり、読みやすい本だと思います。
基本書①は分厚いですが、一番の良著ですし、司法試験レベルとしては、この程度の教科書はがんばって読む必要があると思います。ただし、かなり細かい部分もあるので、判例百選をつぶしながら、それに沿って教科書を読み進める形で、細かいところは気にせずにメリハリをつけて読んで下さい。基本書②、③も好著で、②はオーソドックスな内容で体系や基礎理論がわかりやすく、③は少しクセがありますが、慣れれば記述のレベル、分量ともに司法試験にちょうどよいといえます。所得税法では、基本書④が読みやすいです。
14 経済法
選択している人は少ないようですが、いい教科書がありますので、興味があればお勧めです。
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書①ですが、日経文庫の法律入門書はおおむねよく出来ています。ちなみに他の著者ですが、信託法入門、金融商品取引法入門もよく出来たわかりやすい本でした。
基本書①はよくまとまっていて、基本書②はもっと詳しい内容になっています。どちらも定評があります。
15 国際関係法(公法)
これも選択している人は少ないようですが、いい教科書がありますし、国内法の勉強の気分転換にもなって視野が広がると思いますので、お薦めです。
(1)入門書
(2)基本書
(3)参考書
※コメント
入門書①は、現代の国際問題を取り上げつつ国際法を解説したもので、興味を持って読めると思います。
基本書①は過不足なく、よくまとまっています。参考書①、②は必携。
※そのほか知的財産法、国際法(司法系)、環境法については、まだ検討不足で、どの本がいいかはよく分かりません。
司法試験では、体力も大事です。
食生活に気をつけて、睡眠をしっかりとってください。その上で、勉強時間を確保する必要があるので、ほかの時間を大胆に削ってください。
受験期間は付き合いが極端に減少します、本当の友人は事情が分かってくれますし、合格後にいくらでも友情を取り戻すことができます。受験期間中は、テレビは一切見ない、お酒は一滴も飲まないというのは、受験生として、当然のことだと思います。
幸運を祈ります。